Johann Durand(FEE International Blue Flag Director)

ご列席の皆さま、関係者の皆さま、こんにちは。私はFEEにて、ブルーフラッグ・プログラムの国際ディレクターを務めておりますジョハン・デュランドと申します。本日は、ブルーフラッグ・アジア・サミット2025がここ大阪で開催されるにあたり、遠隔ではありますが、皆さまとご一緒できることを大変光栄に存じます。

主催の日本ブルーフラッグ協会、JARTAの皆さま、そして日本、韓国、インドをはじめ、各地の地域社会を代表してご参加くださった皆さまに、深く御礼申し上げます。皆さまのご参加により、本会は歴史的な意義を持つものとなります。

ブルーフラッグの理念は、「ビーチやマリーナ、観光ボートが、美しさだけでなく、環境への責任と尊重の象徴であるべきだ」という、ひとつのシンプルな考えから始まりました。それから30年、現在では50か国以上に広がる世界的なムーブメントへと成長しています。掲げられたブルーフラッグは、その場所が「人と自然が共に生きる場」であることを世界に示すものです。

アジアの海岸は、生物多様性や文化、そして人々の暮らしに満ちています。同時に、気候変動、プラスチック汚染、急速な開発といった課題の最前線でもあります。これらの課題は、持続可能性が「選択肢」ではなく「不可欠なものである」ことを私たちに示しています。

そして現在、持続可能性はさらに進化し、「再生(Regeneration)」という新たな概念が注目されています。再生型観光は、生態系を回復させ、地域社会を強化し、訪問地をこれまで以上に良い状態へと導くものです。気候変動に強いインフラ、カーボンニュートラルなマリーナ、誰もが利用できる包摂的な沿岸観光など、アジアにはこれらの変革を牽引する大きな可能性があると考えます。

さて、ブルーフラッグは3つの柱に基づいています。一つ目は「サステナビリティ」です。水質、安全、環境教育、管理に関する厳格な基準は、次世代への責任を果たすためのものです。近年では、カーボン削減やレジリエンス(回復力)、デジタル・イノベーションの重要性も高まっています。

二つ目は「コミュニティ」です。ブルーフラッグは決して単独で達成できるものではありません。政府、NGO、学校、企業、市民が連携することで、初めて実現されます。また、インクルーシブ(包摂性)やアクセシビリティ(利用しやすさ)が、成功の新たな指標となりつつあります。

そして三つ目は「信頼」です。グリーンウォッシングが問題視される現代において、信頼こそが最も重要です。ブルーフラッグは単なるシンボルではなく、明確な基準と独立した検証に基づく信頼の証です。

本サミットは、相互に学び合うことを目的としています。日本の先進的な取組や、韓国・インドにおける努力は、互いに響き合い、一つの大きな価値を形成しています。海には国境がなく、潮の流れは私たちを結び、汚染は広がり、気候変動の影響はすべての海岸に及びます。だからこそ、解決策もまた共有され、連携して進められるべきです。

本日の議論にあたり、皆さまには3つの優先事項についてご検討いただきたいと思います。
一つ目は「アクセス」です。離島や農村部を含め、アジアのより多くの地域社会がブルーフラッグの恩恵を受けるためには何が必要か。

二つ目は「若者とイノベーション」です。次世代が教育やデジタル技術、再生型の取組を通じてリーダーシップを発揮するにはどうすべきか。

三つ目は「パートナーシップ」です。政府、企業、市民社会、科学の分野を越えて、いかに協働を進めていくか。

持続可能性は「後付け」ではなく、「基盤」であるべきです。本サミットでの議論と成果は、アジアにおけるブルーフラッグの発展にとどまらず、世界の持続可能な観光の推進にも寄与するものと確信しています。

ブルーフラッグ(青い旗)が象徴するものは、単なる旗ではありません。それは、人と自然、地域社会と世界、現在と未来をつなぐ「約束」です。その約束が、ここアジアで新たに育まれることに、深い意義を感じています。

共に、より多くのブルーフラッグを掲げ、パートナーシップを育み、大切な場所を守っていきましょう。海は、私たちが共に受け継いだ財産であり、同時に未来へ引き継ぐ責任でもあります。この海が、安全で美しく、世界中で称えられ続ける存在であるよう、共に歩んでまいりましょう。ありがとうございました。