日本ブルーフラッグ協会 代表理事 片山清宏さんに聞く
立場の違う人が同じ目標に向かうのがこの認証の核心
湘南生まれ湘南育ちの私は、高校1年生でサーフィンを始めて以来、地元の海がまさに「自分の庭」のような存在でした。毎日海に通うなかでゴミが気になり始め、自然とサーフィン後に拾うようになったのが環境活動の原点です。特に意識が高かったわけではなく、純粋に「自分の庭をきれいにしたい」という感情からでした。
しかし、20年近くビーチクリーンを続けても海岸のゴミはなくならない。それどころか増えていた。なぜだと調べていくうち、ゴミの7~8割は街のゴミが川から流れ込んでいることがわかりました。サーファーひとりくらいがいくら頑張っても根本解決にはならないと痛感し、行政、企業、市民団体が連携できる仕組みづくりが必要だと考え始めました。
そこで100人以上の専門家へのヒアリングや論文調査を重ねた末に出会ったのが、国際環境認証の「ブルーフラッグ」です。直感でこれだと思いました。バラバラに活動している各団体が、「ブルーフラッグ取得」という共通の旗印のもとに連携できると確信したのです。2011年に湘南ビジョン研究所を立ち上げ、「アジア初のブルーフラッグを湘南で」という目標を掲げて、認証に関する啓蒙や広報の活動を始めました。
ところが、最初は誰にも相手にしてもらえません。認証機関の国内窓口にまで「日本では無理」と言われ、行政機関10カ所を訪問しても「前例がない」と否定的。仲間にも「これは無理じゃない?」と笑われました。それでも諦めず、江ノ島沖の海底清掃をメディアに取り上げてもらうなど地道な活動を続け、少しずつ賛同者が現れていきました。
そして2016年、5年越しの努力が実り、ついに神奈川県・由比ヶ浜と福井県・若狭和田ビーチがアジア初のブルーフラッグを同時取得しました。水質調査、バリアフリー対応、排水管理など数々のハードルを乗り越えた結果です。特に難しかったのは、漁協、NPO、海の家組合、行政など利害の異なる関係者をまとめる合意形成のプロセスでした。この地道な調整こそがブルーフラッグ推進の核心だと今も感じています。
現在、国内の認証取得地は15カ所まで増えました。環境省の補助金の対象になったり、環境大臣賞受賞など、行政からの後押しも少しずつ出てきています。私たちの次の目標は、これを100カ所に広げること。ブルーフラッグを「ツール」として活用しながら、日本中の海辺から持続可能な地域づくりを進めていきたいと考えています。
さらに将来は、東南アジアへの展開を視野に入れています。世界の海洋ゴミの大半は東南アジアを経由して流出しており、この問題を解決しない限り世界の海は守れません。フィリピン、タイ、マレーシアなどでブルーフラッグを広め、アジアから海洋環境の改善を進めること。それが私の最終的な夢です。(談)

キレイで安全な海の認証を行う
「ブルーフラッグ」認証。日本ではまだ聞きなれない言葉だが、これからの海の環境を語るうえで、大きな意味を持つ国際認証の名称だ。認証取得のためには海に関わるすべての者の合意形成が必要など高いハードルを越える必要があるが、だからこそその意義は深い。将来の海洋環境に大きく影響するこの認証を紹介しよう。
海を愛するすべての人に知ってほしい認証制度がある。デンマークに本部を置く国際NGO、FEE(国際環境教育基金)が運営する「ブルーフラッグ」だ。1985年にフランスで誕生した国際環境認証で、当初は水質管理が中心だったが、廃棄物管理や海岸保護など環境マネジメント全般へと基準が拡充され、2001年にはFEEが国際組織へと発展し、プログラムは世界へ広がっていった。
認証の対象はビーチ、マリーナ、観光船舶の3カテゴリー。ビーチは「水質」「環境教育と情報」「環境マネジメント」「安全性・サービス」の4分野33項目、マリーナはCSRと地域コミュニティーへの参画などが加わり6分野37項目の審査を毎年クリアしなければならない。国内審査と国際審査の2段階で行われるこの審査は年々厳しくなるため、一度取得して終わりではなく、継続的な環境改善が必要となることが特徴だ。
日本におけるブルーフラッグの運営組織は一般社団法人JARTA(京都府)で、認証取得を希望する施設はJARTAに申請し、審査を受ける仕組み。また、取得支援と普及促進を専門とする一般社団法人日本ブルーフラッグ協会がJARTAと連携し、認証を目指す場所・施設のサポートを行っている。
認証取得のメリットは大きい。申請段階で現状のビーチやマリーナが抱える課題が可視化・共有化され、行政、事業者、住民が連携して具体的な改善策に取り組むきっかけとなり、認証取得が叶えば、サステナブルな場所であることを国内外に客観的に示す証になる。これは観光面での効果が大きく、ヨーロッパでは「きれいで安全、誰もが楽しめる優しいビーチ」の象徴として、多くの旅行者がブルーフラッグビーチをバカンスの目的地に選ぶようになっている。
また、ブルーフラッグはSDGsの17のゴールすべてに関わるプログラムとして位置づけられている。特に「目標14:海の豊かさを守ろう」への直接的な貢献はもちろん、水質管理は「目標6:安全な水とトイレを世界中に」、環境教育は「目標4:質の高い教育をみんなに」、持続可能な観光振興は「目標8:働きがいも経済成長も」にも寄与する。海辺という一つの場所での取り組みが、複数のSDGs目標を横断的に推進できる点もブルーフラッグの大きな特徴だ。
海外での認知度に比べ、日本は発展途上にある。現在、世界51カ国・5,195カ所が認証を取得しているのに対し、日本では2016年に神奈川県の由比ガ浜海水浴場と福井県の若狭和田ビーチがアジア初のブルーフラッグ認証を取得した。しかし2025年時点で15カ所の認証にとどまっているのが現実なのだ。
それでも確実に歩みは進んでいる。2022年にはリビエラ逗子マリーナがマリーナとしてアジア初のブルーフラッグを取得し、国内の認証地は年々増加している。日本は四方を海に囲まれ、美しい海岸線を持つ海洋国家だ。ブルーフラッグ認証を広めることは、単なる認証取得にとどまらず、海を守る意識を地域全体で醸成する効果を生む。世界基準の「青い旗」をたなびかせる日本のビーチやマリーナは、今後さらに増えていきそうだ。
UMI協議会
マリンレジャーの”魅力””楽しさ””感動”を多くの人に感じてもらいたい。
そして、私たちの生活に欠かすことのできない海の役割や大切さを次の世代に伝えていきたい。
UMI協議会は、海とマリンレジャーを愛するすべての人を応援します。

平成19年4月に海洋基本法が成立し、「海洋性レクリエーションの普及」や「海洋教育の推進」が盛り込まれ、マリンレジャーの普及が一層重要となりました。
このような状況の中で、マリンレジャー愛好者の裾野の拡大を図るために、マリンレジャーが「誰でも、気軽に、安心して、楽しめる」レジャーであることを発信することとともに、新たなマリンレジャー愛好者の拡大・定着に向けて、マリンレジャー振興を担う業界・団体の連携した取り組みが必要とされています。
そのため、ここに本趣旨の理念に賛同する関連諸団体が連携を深め、「(U)海に (M)みんなで (I)行こう」を合い言葉に、海をより身近に感じることができる社会の実現を目指して、平成20年6月にマリン関連の公益法人等13団体により、UMI協議会が設立されました。
加えて、平成30年5月に閣議決定された、「第3期 海洋基本計画」においては、海洋に関する国民の理解と関心を喚起するため、マリンレジャーの普及や理解増進等の多様な取組を、産学官等の連携・協力の下、実施することとされており、マリンレジャーがさらに重要視されることとなりました。
令和5年4月現在では、(一財)日本海洋レジャー安全・振興協会を事務局として、27団体構成されており、マリンレジャーの魅力やイベント情報などを広く一般の方々に発信し、各団体の連携によるイベントの開催などを通じてマリンレジャーの裾野拡大や定着などに努めています。
令和5年4月1日 UMI協議会
UMI協議会ポータルサイト https://www.uminiikou.com/
