2025年9月26日(金)~28日(日)に東京ビッグサイトで開催された「GOOD LIFEフェア2025」(主催:朝日新聞社)において、「第7回 BLUE FLAG Japan サミット2025」を開催しました。
■ 開催概要
【名称】第7回 BLUE FLAG Japan Summit 2025
【日時】2025年9月26日(金)15:00~15:40
【会場】GOOD LIFE フェア 2025 つながるセミナー
(東京ビッグサイト 西1・2ホール 東京都江東区有明3-11-1)
【定員】50名
【対象】国際環境認証ブルーフラッグ関係者、研究者、開催地市民ほか
【主催】一般社団法人日本ブルーフラッグ協会
【共催】一般社団法人JARTA、NPO法人湘南ビジョン研究所
第1部 基調講演
片山清宏 一般社団法人日本ブルーフラッグ協会 代表理事

ブルーフラッグを活用した持続可能な観光地域づくり戦略
本日は、「BLUE FLAG Japan Summit 2025」にご参加いただき、誠にありがとうございます。主催者を代表しまして、心より御礼申し上げます。

私からは、「ブルーフラッグを活用した持続可能な観光地域づくり戦略」と題し、国際環境認証ブルーフラッグの概要と、それを活用した観光地域づくりの事例をご紹介いたします。
ブルーフラッグとは、国際NGOであるFEEが実施する、ビーチ・マリーナ・観光船舶を対象とした、世界で最も歴史ある国際環境認証です。認証基準を達成した施設に付与され、毎年の審査を通じて、ビーチやマリーナ等における持続可能な発展を推進しています。

ブルーフラッグは1985年にフランスで誕生し、2025年10月31日時点で、世界51か国、5,195か所が取得しています。特にヨーロッパでは認知度が高く、「きれいで安全で、誰もが楽しめるビーチ」として、多くの人々がバカンスに訪れています。日本国内では、2025年4月10日時点で15か所(ビーチ12か所、マリーナ3か所)が取得しています。

ビーチの認証基準は、①水質、②環境マネジメント、③環境教育と情報、④安全性とサービスの4分野、計33項目です。

ここからは、ブルーフラッグを活用した持続可能な観光地域づくりの成功事例についてご紹介します。

まず一つ目は、福井県高浜町の若狭和田ビーチです。この地域は、いわゆる“原発の町”というイメージを持たれていましたが、ブルーフラッグ取得を契機に、そのイメージを大きく転換しました。環境教育拠点の設置や、AIを活用した見守りシステムの導入、さらに通年型の観光コンテンツの整備により、単なる夏の海水浴場から、年間を通じて人が訪れる地域へと進化しています。その結果、子どもたちの郷土愛が育まれ、観光客の増加による地域活性化にもつながりました。

二つ目は、神奈川県鎌倉市の由比ガ浜海水浴場です。このビーチでは、風紀の乱れが課題となっていましたが、ブルーフラッグを活用し、海浜ルールの策定や環境対策を徹底しました。ごみの分別やリサイクルの仕組みづくり、バイオ素材の活用、バリアフリー化などを進め、「誰もが安心して楽しめるビーチ」へと転換しています。その結果、若者や女性にも支持されるようになり、企業協賛の増加やイベント誘致など、新たな価値の創出につながりました。

三つ目は、大阪府貝塚市の二色の浜海水浴場です。このビーチは、かつて「水質が悪い海水浴場」と言われていましたが、地域一体となって環境改善に取り組み、見事に再生を果たしました。協議会を立ち上げ、カフェやキャンプ場、各種アクティビティを整備することで、「楽しめるビーチ」としての魅力も同時に高めています。その結果、水質の改善だけでなく、スポンサーの獲得や観光客の増加にもつながりました。環境改善と観光振興を同時に実現した好事例です。

最後は、岩手県陸前高田市の高田松原海水浴場です。東日本大震災で一度失われたビーチを再生し、ブルーフラッグを取得することで賑わいを取り戻しました。スポーツ、レジャー、バリアフリー対応など、多様なニーズに応えるビーチづくりを進めるとともに、地域全体の周遊施策にも取り組んでいます。その結果、観光客が戻り、行政と民間の連携が進み、交流人口の増加につながりました。単なる復旧にとどまらず、新たな価値を備えたビーチとして再生した点が特徴です。

これらの事例に共通しているのは、ブルーフラッグを単なる「認証」にとどめず、地域課題の解決と観光価値の向上を両立するツールとして活用している点です。ぜひ皆様の地域においても、そのヒントとしてご活用いただければ幸いです。
日本ブルーフラッグ協会では、国内でまず100か所の取得を目指しています。今後も、一般社団法人JARTAと連携しながら、ブルーフラッグの取得支援と普及促進を通じて、海辺からのSDGsの実現に貢献するとともに、日本の海の豊かさを守り、持続可能な社会の発展に寄与してまいります。本日はご清聴いただき、誠にありがとうございました。
第2部 活動報告
中村好美氏 ヤンマーサンセットマリーナ

「ブルーフラッグ取得マリーナにおける新たな取り組み」
皆さま、こんにちは。滋賀県・琵琶湖から参りました、ヤンマーサンセットマリーナの中村です。
まずは、映像にあわせて、私たちの施設と取り組みをご紹介いたします。ヤンマーサンセットマリーナは、琵琶湖の自然とともに、安心で快適なマリンライフをお届けしている施設です。隣接するホテルは約2年前にオープンし、湖畔の落ち着いた景色と心地よさの中で、幅広い年代の方に特別な時間を過ごしていただける空間を提供しています。

私はこのマリーナで、ボート免許のインストラクターを務めながら、国際環境認証「ブルーフラッグ」の活動にも携わっています。
昨年11月には、世界13の国と地域から約100名のトップセーラーが集まる、ドラゴンクラスの国際ヨットレースが、琵琶湖、そしてヤンマーサンセットマリーナで開催されました。風という自然の力で進むヨットは、再生可能エネルギーの推進に取り組むヤンマーの考え方とも重なっています。
滋賀県は、ヤンマーグループ創業者の生まれた地でもあります。そんな歴史と自然に囲まれたこのマリーナは、安心で快適な環境の中で、多彩なマリンライフを体験できる施設です。
私たちが目指しているのは、「資源循環型マリーナ」です。自然と共生する仕組みをつくるため、エネルギーや廃棄物の循環利用に取り組んでいます。具体的には、太陽光パネルでクラブハウスの電力の一部をまかない、風向風速計を設置して安全運航に役立てるとともに、独自のエネルギー管理システムにより電力利用の可視化・最適化を行っています。
さらに特徴的なのが、ホテルの食べ残しや琵琶湖の水草をコンポスターで堆肥化する取り組みです。できあがった堆肥は、昨年マリーナ内に作った畑で活用し、野菜を育てています。

琵琶湖では、夏になると大量の水草が発生し、景観や水質悪化の原因となるだけでなく、船の航行にも支障をきたします。これらを回収し、ホテルの食べ残しとともに堆肥化し、その堆肥で育てた野菜をホテルのレストランで提供する、循環の仕組みを構築しました。こうした取り組みにより、廃棄物を減らし、環境にやさしいマリーナ運営を実現しています。
しかし、この大量の水草を手作業だけで回収するには限界があります。そこで活躍するのが「藻狩り船」です。この船を使うことで、従来は数日かかっていた作業を数時間で行うことができ、琵琶湖の水質保全と景観維持に大きく貢献しています。

刈り取った水草は細かく裁断したうえでコンポスターに投入し、微生物の力によって栄養豊富な堆肥へと生まれ変わります。この過程では、スタッフによる日々の観察と管理が欠かせません。そして、その堆肥を活用した畑では、今年も多くの野菜が収穫されました。

ただし、設備や仕組みだけでは十分ではありません。最も重要なのは「人の意識」です。ブルーフラッグ取得を目指す過程で、私が特に力を入れたのは、スタッフの意識改革でした。以前は、このようにゴミや危険物が散乱している状況も見られました。スタッフ自身も、どこから手をつけるべきか分からない状態だったと思います。
しかし、認証取得に向けて取り組みを進めた結果、設備の整備に加え、スタッフ一人ひとりが行動を見直し、声掛けを行うことで、ゴミや危険物の放置は大幅に減少しました。とはいえ、油断すれば元に戻ってしまいます。意識を維持し続けることは、今も大きな課題です。


また、地域と連携した環境教育にも力を入れています。ブルーフラッグシンポジウムの開催や、園児との自然学習、塗り絵や掲揚式などを通じて、地域の方々に関心を持っていただく取り組みを行っています。ちなみに塗り絵は本日ブースにもございますので、ぜひ体験して、ミニブルーフラッグをお持ち帰りください。
さらに、行政や海上保安部と連携し、マイクロプラスチックをテーマにしたワークショップも実施しています。子どもたちが自然と関わり、その大切さを体感する機会となっています。

今年からは、環境に配慮した素材を使用した株式会社ピエクレックスの製品を、スタッフユニフォームに採用しました。使用後には土に還るという特徴を持っています。
また、敷地内に植えたコットンも収穫できるようになりました。国産コットンは非常に貴重です。こうした取り組みを通じて、環境をより身近に感じてもらえるよう工夫しています。

それでは最後に、ヤンマーサンセットマリーナと、琵琶湖の美しい比良山系の景色をご覧いただきながら、本発表を締めくくりたいと思います。
持続可能なマリーナを目指す私たちにとって、ブルーフラッグ認証はゴールではなくスタートラインです。認証取得をきっかけに、取り組みはさらに広がりました。また、認証は一度取得して終わりではありません。私自身も、来年度の申請に向けて、これからまた書類と向き合う日々が始まります。
毎年の申請と審査を通じて、自らの取り組みを振り返り、課題を見つけ、改善を重ねていく。このサイクルを継続することで、取り組みを着実にスパイラルアップさせています。
ヤンマーサンセットマリーナは、これからも地域と連携しながら、自然環境を守り、未来につながる活動を広げてまいります。人と自然、そして地域が調和するマリーナを目指し、一つひとつの取り組みを大切に積み重ねていきます。本日はご清聴いただき、誠にありがとうございました。
第3部 表彰式 「第4回 日本ブルーフラッグ協会賞」
「第4回日本ブルーフラッグ協会賞」表彰式では、逗子市(神奈川県)の逗子海水浴場に「日本ブルーフラッグ協会賞」が贈られました。詳細はこちら→https://blueflag-japan.org/2025/09/4nd_award2025/

逗子海水浴場における官民連携でのブルーフラッグへの取組について
宮上敦久氏 逗子市市民協働部経済観光課

皆さま、こんにちは。このたびは、このような貴重な機会をいただき、誠にありがとうございます。私からは、逗子海水浴場における官民連携によるブルーフラッグの取組についてご説明いたします。

逗子市は、神奈川県の南東、三浦半島の付け根に位置し、鎌倉市と葉山町に挟まれた場所にあります。人口約57,000人、面積17.28平方キロメートルのコンパクトな市で、自然が豊かでありながら都市部からのアクセスにも優れた立地です。
南西側は海に面しており、ここが逗子市最大の観光資源である逗子海岸です。晴れた日には江の島の先に富士山を望むことができ、逗子市広報大使である石原良純さんのお父様、石原慎太郎さんの文学記念碑「太陽の季節ここにはじまる」も、人気のフォトスポットとなっています。

逗子海岸は遠浅で波が穏やか、弓状の湾を形成しており、ウィンドサーフィンも盛んです。また、全長約850メートルとコンパクトなことから、「太陽が生まれたハーフマイルビーチ」というキャッチフレーズでも知られています。
夏には逗子海水浴場を開設し、1シーズンで約30万人が訪れています。逗子海水浴場では、2022年にブルーフラッグを初めて取得し、今年で4年目となりました。

その特徴としては、今回の受賞理由にも挙げていただいた、官民連携の強さにあると考えています。ここでいう民間とは、主に海の家の組合である逗子海岸営業協同組合を指します。組合の皆さまは、ブルーフラッグの活動以前から環境への取組を進めており、現在も行政と事業者が一体となって積極的に活動しています。

ブルーフラッグ取得にあたっては、資金面でのご負担に加え、毎年継続的な改善にも取り組んでいただいています。また、市ではブルーフラッグの継続取得を総合計画のKPIに位置付けており、組合側でも一般社団法人を立ち上げるなど、体制整備が進められています。

基本的には、市と組合が一体となって取組を進めていますが、本日はその中から代表的な事例をご紹介いたします。
まず環境教育についてです。特に力を入れているのが、地元小学生への取組です。ブルーフラッグ取得を契機に、小学校での環境出前授業を実施できるようになりました。この授業の費用も組合にご負担いただいており、市と組合の双方から子どもたちへ想いを伝えています。

毎年小学生を海開き式に招待していますが、以前は1校のみの参加でした。ブルーフラッグをきっかけに関心が高まり、今年は初めて市内の公立小学校5校すべてが参加し、約400人の児童とともに海開きと継続取得をお祝いしました。

今年は、ブルーフラッグを広める人材育成のため、リーダー養成講座を開催しました。会場には海の家をお借りし、全店舗から参加いただいています。
安全面でも連携が進んでいます。海開き直後に実施した津波避難訓練では、海の家全店が参加し、実際に高台まで避難を行いました。7月30日には津波避難警報が発令されましたが、現場では既にライフセーバーと海の家による誘導で、多くの来場者が避難を開始していました。日頃の連携と訓練の成果により、混乱なく迅速な対応ができたことは大きな成果だと感じています。
民間企業との連携も広がっています。特に組合が中心となり、企業との連携を推進しています。行政だけでは難しいスピード感や柔軟性を持って対応できる点が大きな強みです。昨年から環境活動に取り組んでいる株式会社コスモスイニシアと、市・組合の三者で協定を締結し、啓発活動を進めています。同社は、ビーチクリーンで回収したプラスチックをタイルにアップサイクルする取組を行っており、そのタイルは住宅のリノベーションにも活用されています。

このタイルを使い、海水浴場中央に「ずし」のオブジェを設置しました。期間中は多くの方が写真を撮るなど、大変好評でした。裏面にはペットボトルキャップを貼り付け、環境について考えるきっかけを提供しています。また、キャップ回収箱も新たに製作し、思わず入れたくなるようなデザインに工夫されています。

来年度に向けては、アップサイクルの過程を見られる移動式エコステーションの導入も進めており、さらなる展開を期待しています。
このように、行政と民間が連携することで、教育・防災・観光などさまざまな分野に活動が広がっています。ブルーフラッグは、その連携をさらに強化し、関係者のモチベーションを高める存在になっていると実感しています。
今回いただいた日本ブルーフラッグ協会賞を励みに、今後も取組を一層推進し、逗子海岸の良好な環境を次世代へとつないでまいります。ご清聴ありがとうございました。
GALLERY
日本ブルーフラッグ協会、若狭和田ビーチ(福井県高浜町)、サンオーレそではま海水浴場(宮城県南三陸町)、ヤンマーサンセットマリーナ(滋賀県守山市)の4者は、2025年9月26日(金)~28日(日)GOOD LIFEフェア(来場者数36,598人)に共同出展しました。







お問い合わせ
一般社団法人日本ブルーフラッグ協会 サミット事務局
E-mail: info@blueflag-japan.org
TEL: 090-9017-2459
