ブルーフラッグとは

ブルーフラッグとは、国際NGO FEE(国際環境教育基金)が実施するビーチ・マリーナ・観光船舶を対象とした世界で最も歴史ある国際環境認証です。認証基準を達成すると取得でき、毎年の審査を通じて、ビーチやマリーナ等における持続可能な発展を目指しています。国内では2024年5月1日現在、14か所(ビーチ12か所、マリーナ2か所)がブルーフラッグ認証を取得しました。

ブルーフラッグは1985年にフランスで誕生し、2024年5月26日時点で、世界51か国、5,121か所が取得。特にヨーロッパでの認知度は高く、ブルーフラッグビーチは「きれいで安全で誰もが楽しめる優しいビーチ」として、多くの人々がバカンスに訪れます。ブルーフラッグを取得するためには地元自治体やビーチ、マリーナ・観光船舶の管理・運営者等が中心となり、厳しい基準を達成することが求められます。多くの基準設定にもかかわらず世界中でブルーフラッグの掲揚が増えています。これはブルーフラッグを取得する過程で周辺地域の関係者が関与することにより、地域の経済的側面と環境的側面を両立させる持続可能な発展につながると高く評価された結果だと言えます。

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ブルーフラッグ認証プログラムは、SDGsの17ゴールのすべてに関連しており、FEEでは、UNEP(国連環境計画)やUNWTO(国連世界観光機関)等との連携のもと、世界各国において推進しています。ビーチでは4分野(水質、環境マネジメント、環境教育と情報、安全性とサービス)33項目、マリーナでは6分野37項目、観光船舶では5分野51項目の認証基準があり、毎年審査を受けて更新する必要があります。基準を満たしたビーチ・マリーナ・観光船舶は国際基準の証しである旗を掲げることができます。

日本におけるブルーフラッグプログラムは、国内運営組織である一般社団法人JARTAが実施しています。
認証を取得するためにはJARTAに申請し、国内審査及び国際審査を受ける必要があります。2024年5月時点の認証ビーチ・マリーナは以下14か所です。
①由比ガ浜海水浴場(神奈川県鎌倉市):2016年から9年連続取得(アジア初取得)
②若狭和田ビーチ(福井県高浜町):2016年から9年連続取得(アジア初取得)
③須磨海水浴場(兵庫県神戸市):2019年から6年連続取得
④本須賀海水浴場(千葉県山武市):2019年から6年連続取得
⑤片瀬西浜・鵠沼海水浴場(神奈川県藤沢市):2021年から4年連続取得
⑥逗子海水浴場(神奈川県逗子市):2022年から3年連続取得
⑦リビエラ逗子マリーナ(神奈川県逗子市):2022年から3年連続取得(マリーナでアジア初取得)
⑧興津海水浴場(千葉県勝浦市):2023年から2年連続取得
⑨小田の浜海水浴場(宮城県気仙沼市):2023年から2年連続取得
⑩サンオーレそではま海水浴場(宮城県南三陸町):2023年から2年連続取得
⑪菖蒲田海水浴場(宮城県七ヶ浜町):2023年から2年連続取得
⑭高田松原海水浴場(岩手県陸前高田市):2024年取得(岩手県内初取得)
⑬二色の浜海水浴場(大阪府貝塚市):2024年取得(大阪府内初取得)
⑭リビエラシーボニアマリーナ(神奈川県三浦市):2024年取得

※鎌倉市「由比ガ浜海水浴場」、高浜町「若狭和田ビーチ」は、アジア初のブルーフラッグ認証ビーチです。
※藤沢市「片瀬西浜・鵠沼海水浴場」は、申請者が民間団体(江の島海水浴場協同組合)となるアジア初のブルーフラッグ認証ビーチです。
※逗子市「リビエラ逗子マリーナ」は、アジア初のブルーフラッグ認証マリーナです。

ブルーフラッグ認証取得後の声

鎌倉市長 松尾 崇

ブルーフラッグ取得を通して、市民・企業・行政が連携し、由比ガ浜海水浴場における環境教育、環境保全、安全対策の取組が進みました。特に県と連携したバリアフリービーチの推進は大きな成果となりました。
由比ガ浜海水浴場 2016年アジア初取得~連続更新

高浜町長 野瀬 豊

アジア初のブルーフラッグを取得したことで、若狭和田ビーチの取組が国内外から注目されるようになりました。高浜のブランド価値の向上、インバウンドを含めた観光振興や移住定住の促進による地域活性化が期待できます。
若狭和田ビーチ 2016年アジア初取得~連続更新

勝浦市長 照川 由美子

ブルーフラッグを取得したことで、興津海水浴場は全国的に注目されるようになり、地域に対する愛着と誇りが育まれ、シビックプライドの醸成につながりました。環境教育や環境保全への意識向上に大きく寄与しています。

興津海水浴場 2023年~連続更新

陸前高田市長 佐々木 拓

東日本大震災の津波により砂浜の9割が流出した高田松原海水浴場は、2021年に11年ぶりの海開きを果たしました。県内初のブルーフラッグ取得を機に震災からの復興を学べる場、そして人にも環境にも優しい海水浴場として更なる交流人口の拡大を図っていきます。
高田松原海水浴場 2024年5月岩手県初取得

株式会社リビエラリゾート 代表取締役社長 小林 昭雄

リビエラ逗子マリーナは、安全性や快適性が評価され、マリーナとしてアジア初のブルーフラッグに認証されました。今後も世界レベルのマリーナとして、環境保全や環境教育、持続可能なまちづくりへ貢献していきます。
リビエラ逗子マリーナ 2022年アジア初取得~連続更新

(出典:ブルーフラッグサポートガイド2023、ブルーフラッグサポートガイド2024)

ブルーフラッグの意義・目的

1

海の課題の可視化・共有化

ブルーフラッグを取得するためには、30数項目の基準の達成状況を調査することが必要で、その過程で現在のビーチやマリーナ等の抱える課題(ブルーフラッグ未達成基準)が明らかになります。これらの課題が行政・事業者・住民間で可視化・共有化されることで、課題解決に向けた具体的な改善策に取り組めるようになります。

2

世界基準の海の証明

ブルーフラッグは、認証基準に基づいて第三者機関である国内及び国際審査委員会の書類審査・現地審査をクリアしてはじめて認証が与えられる公正で信頼性の高い制度です。ブルーフラッグを取得することは、サスティナブルなビーチ・マリーナ等であることを国内外に客観的に示すことができる証となります。

3

ステークホルダーの継続的活動の推進

ブルーフラッグの取得を目指すためには、地元の行政・事業者・NPO・住民などのステークホルダーの合意が必要となります。また、毎年審査を受けて更新する制度となっているため、ステークホルダーの継続的活動が促進され、地域一体となった持続可能なビーチ、マリーナ等の改善活動が推進されます。

4

ブランディングと地域経済の活性化

厳しい基準を達成してブルーフラッグを取得できたビーチ・マリーナ等はそのブランドが確立され知名度が上がります。特にヨーロッパではその効果は大きく、今後日本においても、ブルーフラッグビーチ・マリーナ等は国内外からの海水浴客や観光客の増加による地域経済の活性化が期待できます。

5

地元の海に対する愛着と誇りの醸成

ブルーフラッグを取得・維持するためには、行政・事業者・市民がビーチやマリーナ等の改善運動を自ら主体的に参加する必要があります。その過程で、行政・事業者・市民が地元の海を取り巻く環境についての理解を深め、海やまちに対する愛着と誇りを持つようになりシビック・プライドが醸成されます。

6

SDGs達成への貢献

ブルーフラッグ認証プログラムは、SDGsの17ゴールにすべて関連しており、FEEではUNEP(国連環境計画)、UNWTO(国連世界観光機関)等との連携のもと推進しています。ブルーフラッグの取得を目指すことで、SDGs関心層の取り込みも期待でき、SDGsをまちぐるみで推進できるようになります。

7

「持続可能なまちづくり」の実現

①水質、②環境教育と情報、③環境マネジメント、④安全性・サービスの4分野からなるブルーフラッグの基準を達成するためには「環境・経済・社会」の調和した改善運動が必要です。ブルーフラッグの目的はSDGsの理念と一致しており、ひいては「持続可能なまちづくり」を実現することにつながります。

ブルーフラッグのメリット

1⃣公式FEE global サイト登録
2⃣ブルーフラッグ認定証の授与/ブルーフラッグ旗の掲揚
3⃣SDGs17ゴールへの貢献
4⃣BLUE FLAG Japan サミットへの出席
5⃣ブルーフラッグロゴの使用(プロモーション・商品開発)

ブルーフラッグの歴史

ブルーフラッグのコンセプトは、1985年にフランスで誕生しました。フランスの海岸沿いの自治体が実施した下水処理と海水浴場の水質への取り組みに対して世界初のブルーフラッグ認証が授与されました。

ヨーロッパ環境年の1987年に、FEEEによりヨーロッパ議会にこのコンセプトが紹介されたのを機に、ブルーフラッグプログラムが開始されました。下水処理 と海水浴場の水質に加え、ブルーフラッグの認証基準として、廃棄物管理、海岸地域の計画と保護などの環境マネジメントに関するその他の項目が導入されました。また、マリーナを認証対象に加えました。1987年には、ヨーロッパ10カ国244のビーチと208のマリーナでブルーフラッグが取得されました。

2001 年FEEが国際的な組織として発展し、FEEEからFEE(ヨーロッパを意味する最後のEが取れる)に変わりました。以降、ヨーロッパ以外の国における多 くの団体や機関がブルーフラッグの拡大に向けた取り組みへの参加を希望しました。プログラムの拡大にともない、認証基準はより厳しく統一されたものへ変 わってきました。

2006年には、世界各地域における特定の環境に対応するために、バリエーションを加えた国際基準が導入されました。

ブルーフラッグの歴史

1985年ブルーフラッグの構想がフランスで紹介される
1987年EUの支援によりブルーフラッグがヨーロッパで紹介される
1992年同様のブルーフラッグ基準が全てのヨーロッパ諸国で紹介される
2001年南アフリカでブルーフラッグが開始、国際的プログラムとなる
2004年ブルーフラッグがカリブ海で開始される
2005-2010年ブルーフラッグがブラジル、カナダ、モロッコ、チュニジアニュージーランドで実施される。
2010年41カ国がブルーフラッグを実施
2014年50カ国がブルーフラッグを実施
2016年日本・アジア初のブルーフラッグが認証される。
出典:NPO法人 FEE JAPAN

ブルーフラッグ認証基準

ビーチでは4分野33項目、マリーナでは6分野37項目、観光船舶では5分野51項目の認証基準があり、毎年審査を受けて更新する必要があります。基準を満たしたビーチ・マリーナ等はフラッグを掲げることができます。

ブルーフラッグを取得するためには地元自治体やビーチ、マリーナの管理・運営者等が中心となり、これらの基準を達成することが求められます。多くの基準設定にもかかわらず世界中でブルーフラッグの掲揚が増えています。これはブルーフラッグを取得する過程で周辺地域の関係者が関与することにより、地域の経済的側面と環境的側面を両立させる持続可能な発展につながると高く評価された結果だと言えます。

ビーチの認証基準

環境教育と情報

基準1

BFやFEEのその他の認証に関する情報の掲示

基準2

ビーチ利用者への環境教育活動

基準3

ビーチの水質に関する情報の掲示

基準4

ビーチの生態系や環境問題に関する情報の掲示

基準5

ビーチにおける関連施設を示す地図の掲示

基準6

ビーチや周辺地域の利用に関連する法令を反映した行動規範の掲示

水質基準

基準7

水質測定基準と頻度についての要件

基準8

水質測定分析についての基準と要件

基準9

産業排水や下水等の排水のビーチエリアへの影響

基準10

ふん便性大腸菌、腸球菌(連鎖球菌)の測定指標制限値

基準11

水質に関する物理的・化学的な測定指標制限値

環境マネジメント

基準12

BFビーチ管理委員会の設立(努力基準)

基準13

ビーチに関連するすべての規制への順守

基準14

影響を受けやすい自然環境地域の管理

基準15

ビーチの清掃管理

基準16

生態系保護

基準17

ごみ箱の設置、維持管理

基準18

ごみの分別、リサイクル

基準19

トイレや洗面所の設置数

基準20

トイレや洗面所の清掃管理

基準21

下水処理

基準22

無許可のキャンプや車両の進入、不法投棄

基準23

ペット管理

基準24

建物とビーチ設備の維持管理

基準25

ビーチの近隣にあるサンゴ礁や海草藻場の保護

基準26

交通手段の整備(努力基準)

安定性・サービス

基準27

公共安全管理対策の実施

基準28

救急設備の設置

基準29

汚染リスクに対する緊急対策

基準30

トラブルや事故の防止

基準31

ビーチ利用者への安全対策

基準32

ビーチでの飲料水の供給(努力基準)

基準33

身体障がい者向けのアクセスと設備

出典:NPO法人 FEE JAPAN

ブルーフラッグの認証プロセス

STEP1

地元関係団体と調整の上、国内運営組織である一般社団法人JARTAに申請(11月)

(2023年は11月1日~10日、第1回申請は申請書所定のWord形式にてメール添付で受付)

STEP2

国内審査委員会による審査(1月)

各分野の専門家により構成される国内審査委員会において審査を実施

STEP3

国際審査委員会による審査(4月)

国内審査委員会の推薦を経て、国際審査委員会で最終決定される

STEP4

ブルーフラッグ認証取得(5月)/ 1年ごとに更新

国内運営組織により定期的な検査を行い、基準を満たしていないビーチは認証を取り消される

ブルーフラッグ各種マニュアル

ブルーフラッグ
取得基準とその解説 ビーチ編

出典:一般社団法人JARTA

ブルーフラッグ
マリーナ認証の基準と注釈2022

出典:一般社団法人JARTA

ブルーフラッグ
観光船舶認証の基準と注釈2021(英文)

出典:FEE global